普通っていいですね
―診察現場より―
普通がいい、、、
患者様のSさん、
ある方の紹介で来院。
「だまされたと思って
行ってみなさい」と
言われて来たとのことです。
膝が曲がらなくなって、
諦めていたのだそうです。
来て早々、、、
私の膝は、ダメなんです。
何をやっても治りません。
だから身体障害者の認定を
受けたいのです。
ここで証明してもらえますか?」
「証明を受けるためには、
専門病院でさらに詳しい
検査と診断を受けなければ
なりませんよ」
「是非お願いします」
「ここに来た目的は?」
「ここなら何でも言うことを
聞いてくれるって
聞いたものですから、、、」
「今なら障害者手帳など
もらわなくても治る見込みは
あると思いますよ」
「いや、無理じゃないでしょうか?」
「絶対に治らないなどということは
絶対にありません、、、が、
ご希望であれば病院を紹介
しますよ」
ということで、希望通り、
身体障害者第4級の認定を
受けました。
確かに初診時の膝は
30度しか曲がりませんでした。
毎回毎回、言うことは、
「ホントはダメなんじゃないかな?
絶対無理だと思う。ホントに
治るんですか?」
「絶対にダメなんてことは
絶対にない、飽きずに治療を
続けたら、必ず結果が出ます」
毎回通院の度に同じ会話が
繰り返されました。
何度も何度もです。
気がついたら、1年の月日が
流れていました。
現在、150度を超える角度まで
曲がります。
つまり、殆ど普通です。
先日の診察の時の会話、、、
私「具合はいかがですか?」
Sさん「それがね、とってもいいんですよ」
と深刻な顔で?言うのです。
さらに、
Sさん、「こんなに普通に
何でも出来るのに
障害者手帳を持っていても
いいものかと、、、」
私、「それは、そうですね、
誰が見たって障害者には
見えないですよ、
障害者手帳は返しても
いいんじゃないでしょうか?」
Sさん「やっぱりそうですよね」
私「そりゃそうデ・ス・ヨ(^o^)/」
Sさん「普通っていいですね。
何でもないって、幸せなこと
デ・ス・ネ(^o^)/」
とのことでした。